人前で話すことの心技体

人前で話すことが楽しいという人もいるし、
人前で話すくらいなら、死んだ方がマシという人もいる

 

その差はどこから生まれてくるのでしょう?

 

答えは、武道家が備えている心技体にヒントがあります。


私は、フルコンタクト空手の黒帯を持っていますが、黒帯になる条件に
10人連続組手というものがあります。

元気の良い選手が、次々と眼の前に現れ、こちらは休みなく、
戦い続けなければならないという過酷な荒行です。

 

この10人連続組手に挑むには、計画的に体を鍛え、自分の得意な技を
身に付け、心に確固たる自信を持って臨む必要があります。


ところが、いくら体を鍛えても、いくら技を磨いても、それらは
奥が深すぎて、到達感が得られにくく、いついつになると完了する……
という性質のものではないことに気付かされます。


そして、容赦なく不安感が襲ってきます。

『今の自分に、そんな荒行が完遂できるだろうか?』

この不安感を払拭するように、練習と筋トレに明け暮れるわけですが、
やはり、10人連続組手を迎える当日まで、心は不安なままです。


やがて、その時はやってきます。

 

『それでは、これより町田和隆君の昇段審査を行います!』


館長の声が道場に響く。


『もう待ったなしだ!』と思った瞬間、自分の内面で気持ちの持ち方に
大きな変化が起こったのを覚えています。

 

『そうだ! 心で勝とう!』・・・と。


『体や技のレベルは、今となってはどうにもできない。
ならば、せめて心では、大いなる自信をもって臨もう』

このように腹をくくることができたのです。


ここで重要な点は、体や技が完璧に仕上がったから心に自信が湧いたの
ではなく、心に自信の炎を燈すことで、体や技の未熟さに動揺すること
がなくなったということです。


そう。

条件が揃ったから内面が安定したのではなく、内面を整えることに
よって、結果、条件に左右されない自分を見いだすことができたのです。

結果は、見事に完遂! もっとも、体はボロボロでしたが(笑)

 


この体験は、人生における心の持ち方そのものにも大きなプラスの影響
をもたらしました。

 

実は、人前での話し方の心構えに、この気付きを当てはめることができます。

 

そう、この心技体という切り口は、人前での話し方に使えるのです。

 

ただし、持論ですが、心技体というキーワードは、人前での話し方においては、
次のキーワードに変化させて考えます。


それが・・・メンタル、スキル、ナレッジ。

メンタル、スキルはそのまヨコ文字にしただけ(笑)

ナレッジは、体、これ要するに、話の中身と言う整理の仕方です。

スキル・ナレッジは奥が深く、いつまでも完全なゴールに
到達することはありません。


もちろん、そこそこまでやれる領域に来たなぁ……という自覚は程なく
芽生えますが、上には上があり、下には下がいるという世界観から脱出
することは困難です。

それゆえ、そこそこスキル・ナレッジを身に付けたら、メンタル面での
自信を深めることが、上のレベルを目指す上でも、とても重要となって
きます。

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